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免疫治療25「養子免疫療法」

少し、秋めいた季節になり、朝夕が過ごしやすくなりました。各地で災害をもたらした異常気象の夏もやっと終わりに近づきました。前回はインターフェロン療法についてお話ししました。サイトカイン治療は患者さんに直接投与して行うため、免疫反応として副作用が強く出ます。その欠点を補うためにNK細胞キラーTリンパ球を賦活化させる養子免疫療法が開発されました。その概略をお話しします。

養子免疫療法

養子免疫療法はAdoptive cell transferを語源として翻訳された言葉で、日本ではATK療法やLAK療法と言われる免疫を活性化させる治療法です。以前は免疫力のある人のリンパ球を培養して活性化、増殖させて投与していたもので他人のリンパ球(養子)を導入するという意味で養子免疫療法と命名され今日に至っています。

 

しかし、他人のリンパ球を患者に投与するとかなりの確率でGVHD(graft versus host disease)が起こってきます。臓器移植に伴う合併症のひとつで他人のリンパ球という臓器を投与することで起こります。命を損なう危険性のある重篤な合併症です。そこで現在は患者自身のリンパ球を使って治療します。患者の血液を採取して抗CD3 抗体でTリンパ球を取り出します。培養器に入れ、免疫賦活物質(IL-2)を投与して、体外でリンパ球を千倍以上に増殖させます。

 

 

患者自身のリンパ球を活性化して体内に戻すもので、この養子免疫療法を「活性化自己リンパ球移入療法」と呼びます。自己細胞を使うものは、他人の細胞を使うものに比べて、ウィルス感染などを持ち込む危険もなく、MHC分子クラスⅠとクラスⅡが個人によって異なることによって生じる有害な免疫反応が起こることもなく、格段に安全なものです。CD3 分子はTリンパ球表面で抗原を認識するTリンパ球受容体の一部を構成する分子で、Tリンパ球を抗CD3 抗体で刺激するとTリンパ球一般があたかも抗原刺激を受けたかのような影響を受けます。実際には抗CD3 抗体を固着させた培養フラスコを用いて培養を行うと、Tリンパ球にこのような刺激を与えることが出来ます。

 

IL-2 は細胞免疫を司るTリンパ球の増殖・活性化の因子で、遺伝子工学的に作られたものを使用します。IL-2 を培養液に加えるとTリンパ球表面にある IL-2 受容体に結合してリンパ球の中でもTh1細胞をはじめ、キラーTリンパ球やNK細胞の増殖が起こります。約2週間培養の後、遠心分離してリンパ球を回収、洗浄して患者本人に戻します。体内に移入された活性化リンパ球は、癌細胞に集まり癌細胞を殺傷します。この方法により得られた細胞をリンフォカイン活性化キラー(Lymphokine Activated Killer、LAK)細胞と呼びます。LAK細胞は新鮮な癌細胞や、NK細胞で抑えきれない癌細胞にもキラー活性を示し強力な抗癌作用を有しています。当院では活性化リンパ球治療と称して行っています。

 

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