院長のブログ
免疫治療18「癌細胞があなたをだます手口」
年末も押し詰まってきました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。 夏から冬へと急激な気候変動が続いています。体調管理にお気を付け下さい。今年最後のブログとなります。来年はもっと、良い年になることをお祈りいたします。
癌細胞は生き残るために、本体からの攻撃を避けるいろいろな手段を身に着けてきます。今回はあなたをだますあくどい手口についてお話します。
ひとつは、がん細胞が免疫細胞の追求を逃れる手段として、腫瘍自身が持っている腫瘍特異抗原を提示しなくなります。つまり正常な細胞のごとく見せかけるわけです。普通のサラリーマンの姿をして人をだます詐欺師みたいなものです。
次なる手口はMHC分子クラスⅡを発現しなくなり抗原提示細胞に情報を伝達しなくなるようにします。がんの目印である腫瘍特異抗原を細胞表面に出さず、免疫監視のパトロールに引っかからなくするのです。がん細胞の表面をツルツルにして免疫細胞が接触できなくするようなものです。
また、リンパ球が癌細胞と接触するのに必要な接着因子を表面に出さなくなったり、癌細胞表面に自ら産生したムチン(糖を含んだたんぱく質で粘液状になっている)を塗布してコーティングを施し、免疫細胞との接触を物理的に抑制するなどの対抗策も癌細胞は出してきます。忍者のように隠れ蓑をまとって隠れてしまうのです。
一方、腫瘍が分泌するTGF-βという免疫を抑制するようなサイトカインやIL-6、IL-10が関与することもあります。がん細胞が直接、免疫を働かなくするわけです。このような免疫が抑制されている時には、免疫療法を加えることで免疫の応答力が回復し腫瘍を抑制する方向に再び向くようになります。
免疫治療もがんの進行度によって対策が変わります。がん初期の免疫療法は免疫力の低下を防ぐことが主となり、進行がんでは落ちてしまった免疫力を回復させることが主眼となります。なんでもかんでも免疫治療さえすれば良いというものではありません。
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