治療症例の紹介:遺伝子治療 (いでんしちりょう)
遺伝子を細胞に入れて働かせることを遺伝子導入といいます。遺伝子をがん細胞内に運搬する運び屋をベクターといいます。ベクターは遺伝子治療で「薬」として使う遺伝子を細胞に運び入れるために必要不可欠なものです。ベクターには、元々細胞に入り込む性質を持つウイルスの「殻」や、脂質のボール(リポソーム)等が使われます。ウイルスベクターは、ウイルスの殻とウイルス遺伝子の一部を使い、ウイルスの病原性を発現する遺伝子を切り取り、代わりに薬となる遺伝子をはめ込みます。そのため原則として、ウイルスベクターには病原性はありません。現在、遺伝子治療として使われている5型アデノイルスはアデノウイルスの中で最も発病性の低いものです。
効果を上げるには腫瘍内に投与することが必要です。
ベクターであるアデノウイルスはすぐ細胞膜に結合するため、正常細胞にも侵入します。細胞は必要な遺伝子だけをそのつど利用するので、治療用遺伝子が必要とされない細胞では治療用遺伝子は働きません。つまり、正常細胞にp53遺伝子が取り込まれても問題は生じないのです。がん細胞から遠く離れたところからp53遺伝子を注入しても、がん細胞にたどり着くまでに多くのp53遺伝子が正常細胞で消費されます。これでは効率がきわめて悪いのでp53遺伝子は腫瘍内に直接、注入することが要求されます。遺伝子治療は血管内治療で投与すると、その効果は格段に向上します。
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